デジタルマンモグラフィ検査 MAMMOGRAPHY
はじめに
医療機器を含める医療環境でデジタル化が普及する中、マンモグラフィにおいて当院では、2015年12月にフラットパネル搭載のシーメンス社製デジタルマンモグラフィMAMMOMAT Inspirationを導入し、モニタ診断を開始しましたので、ご紹介いたします。
デジタルマンモグラフィ導入のメリット
運用面
フイルムスクリーン時では過去画像比較が容易にはできず、患者さまのフイルムの紛失でオリジナルがなくなってしまう恐れがありました。今回、フイルムがデータ化することにより、データの再現性が可能となりました。また、データも軽量化できておりサーバーへの負荷が少なく、モニタ診断時にも過去画像を数秒で呼び出すことができるようになりました。
撮影時間については、撮影してすぐに手元のモニタに画像が出るため、フイルムのカセッテ入れ替えの手間、現像の手間と時間が大幅に短縮できます。
低被ばくと高画質
被ばくについても、アナログフイルムからデジタルにすることで安定した画質と低被ばくが実現できています。実際に、乳房厚4cmくらいの場合、フイルムでは約2mGyだったものが、この装置で約1mGyの撮影が可能です。低被ばくテクノロジー「Primeテクノロジー」も搭載しており、さらに最大30%の被ばく低減が実現できています。画質については、導入前に他施設見学で検討したため、満足できるものが得られています。
拡張性
トモシンセシステクノロジーの導入ができたことも大きなメリットです。トモシンセシスとは、最近話題にも挙がっていた3Dマンモグラフィのことです。乳房の1mmスライスピッチの断層の画像を得ることができます。従来どおりの2Dで診断することは大切なことですが、乳腺密度の高い日本人は、どうしても乳腺が重なってしまい診断が困難なFAD所見が存在します。そういった病変が、乳腺の重なりなのか、腫瘤なのかなどの診断に今後活躍できることを期待しています。
トモシンセシステクノロジー
今回、導入したMAMMOMAT Inspirationのトモシンセシスは、X線管の振り角が±25°と非常に広角であり、25回の曝射をするため、病変の位置情報をしっかりと得ることができます。25回曝射したトータル線量も、感度の良いフラットパネル(受光部)により低被ばくが実現できています。この装置の最大の特長は、得られたトモシンセシスのスライス画像がすべて鮮明に得られることです。
追加撮影をするからには、確かな追加情報を得られることを重要とし、今後も引き続き、診断能向上を目指す撮影を行っていきたいと思います。
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社