脳神経外科 NEUROSURGERY
トピックス
血管内治療(カテーテル治療)はじめました
地域医療機関の脳神経外科に最も求められているものは脳卒中に代表される急性期疾患への対応です。脳卒中には脳の血管がつまる脳梗塞、脳の小血管が裂けておこる脳内出血、脳の大血管に発生した動脈瘤(血管のコブ)が破裂しておこるくも膜下出血があります。脳梗塞とくも膜下出血で脳血管内治療は強い力を発揮します。当科副部長の曽我部医師は2015年に当時管内治療をおこなっていなかった高知赤十字病院で血管内治療を立ち上げた実績があり、当院でも血管内治療を開始しました。
- その他の血管手術
血管内治療は慢性期の治療にも有効です。コイル塞栓術は脳ドック等で見つかった破裂していない動脈瘤の治療にも有効です。細くなった首の血管(脳梗塞の原因になります)に対してもステントを留置することができます。
従来の手術である動脈瘤に対するネッククリッピング術、頚動脈狭窄に対する頚動脈内膜剥離術、頭蓋内動脈閉塞に対する浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術も引き続きおこなっており、患者様に治療の選択肢を提供することができます。
当院では脳ドックもおこなっております。脳ドック等で異常が認められた場合は当院での二次検査をご検討ください。 - その他の疾患
その他の急性期疾患としては頭部外傷にも迅速に手術対応することができます。
慢性期疾患では、認知症、パーキンソン病、顔面けいれん、三叉神経痛、脳腫瘍、てんかん、頭痛などの疾患に対しても画像診断の上、適切な医療機関と連携し治療を行うことができます(他院へ紹介させていただく場合もあります)。
近年、片頭痛の予防治療として、抗CGRP抗体製剤(月一回の皮下注射)が認可されました。当院で投与可能です。
脳梗塞に対する急性期再開通療法
(血栓回収療法)
脳梗塞は血管がつまって血流がなくなった脳組織が壊死する病気です。しかしながら血管がつまってから脳組織が壊死するまでの数時間の間で血管のつまりを取り除くことができれば、脳梗塞の範囲を減らし、症状を劇的に改善することができます。近年、急速に発達している手術方法で最も血管内治療の効果が期待できる手術方法です。
くも膜下出血(脳動脈瘤破裂)に対する
コイル塞栓術
くも膜下出血は脳動脈瘤が破裂することにより起こります。致死率30%の極めて重い病気で、迅速な破裂点の処置が必要です。
今までは開頭手術(全身麻酔で頭の骨を開ける手術)で、血管の外側から動脈瘤の根元をクリップで挟む手術が行われていましたが、血管の内側から脳動脈瘤内に形状記憶合金(プラチナのコイル)を挿入し、動脈瘤を閉塞させる治療ができるようになりました。開頭手術と比べると、脳に触れずに処置ができるため、体に与える負担が少ないです。また深い部分の動脈瘤でも処置が可能な点が有効です。
上記二疾患以外にも脳出血に対して、従来の開頭手術より負担の小さい神経内視鏡手術を導入しています。
脳卒中の治療をよりよい結果につなげるには、できるだけ早く治療を始める必要があります。今までは上記手術の必要な患者様について、遠方の医療機関への搬送をお願いしていましたが、今後は当院で迅速に対応することができます。
片方の手足や顔の半分が動かない・しびれる、ろれつが回らない、言葉が出てこない等の脳卒中を疑う症状が発症した場合、すぐに救急車で当院に来院してください。
医師紹介
脳神経外科部長 大畠 義憲
資格等 | 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医 |
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所属学会 | 日本脳神経外科学会 日本脳神経外科コングレス |
メッセージ | 脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、機能的脳神経外科等全般にわたって手術を行っています。 |
脳神経外科副部長 曽我部 周
資格等 | 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医 日本脳神経血管内治療学会 脳神経血管内治療専門医 日本脳卒中学会 認定脳卒中専門医・指導医 日本神経内視鏡学会 神経内視鏡技術認定医 医学博士 |
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所属学会 | 日本脳神経外科学会 日本脳神経外科コングレス 日本脳神経血管内治療学会 日本脳卒中学会 日本脳卒中の外科学会 日本神経内視鏡学会 日本リハビリテーション医学会 |
メッセージ | 開頭手術、血管内手術を含めた脳卒中救急治療を専門としています。血管内手術はこれまで当院では行っておらず、大学病院等への搬送や転院を必要としていました。 脳梗塞の急性期治療は時間との勝負なので、当院での迅速な治療は患者さまに大きなメリットがあります。 片方の手足や顔の半分が動かない・しびれる、ろれつが回らない、言葉が出てこない等の脳卒中を疑う症状が発症した場合、すぐに救急車で来院してください。 |