病院長あいさつ MESSAGE
病院長 住友 正幸
令和6年4月、邉見達彦前病院長が名誉院長に就任され、その後任として、この歴史ある徳島県鳴門病院の病院長を拝命いたしました。身に余る光栄に存じます。
さて、当院は昭和28年に健康保険鳴門病院として発足し、徳島県東部医療圏の吉野川北岸のみならず、香川県、淡路島までその診療圏を広げてまいりました。平成25年には現在の地方独立行政法人徳島県鳴門病院として新たなスタートを切り、糖尿病・内分泌センターや、脊椎脊髄センターを開設して高度な医療を手がける一方で、小児・周産期医療、救急・災害医療など地域に不可欠な政策医療も担ってまいりました。昨年開設された地域包括ケア病床は、これからの高齢化、介護連携の重要性を先取りし、医療機関、介護施設とも連携しながら、医療が必要になっても、出来るだけADLを保った生活に戻れますよう、システム創りにチャレンジしています。そして、今年新たに開設された医療人育成センターは、徳島の医療に必要な「ひと」を育んでいます。
私たちの理念は「皆様に信頼される病院づくりを目指し、安全な医療を親切に提供すること」。「親切」は「深切」で「深く切に思いやること」。理念の通り「やさしい」病院にしたいと思います。そして、医療技術も経営基盤も「安全・安心」で「強い」病院を目指します。そして何より、病院長を始めとして全職員が常に「学ぶ」病院でありたいと思います。
徳島県鳴門病院の拠って立つところは徳島県民。県民に支えられ、「信頼」される病院として、県民医療の一翼を担ってまいります。今後とも、広くご支援を賜れますよう、よろしくお願い申し上げます。
現在の鳴門病院の臨床指標
令和四年度の臨床面の結果をご報告します。入院患者数は一日平均154.4名(深夜24時現在)で利用率は79.4%です。新規入院患者数は一日平均12.9名、平均在院日数は12.0日です。外来患者数は400.9名/日、新規外来患者数は44.9名/日でそのうち紹介患者数は15.4名/日です。手術室での手術件数は500点以上では、コロナの影響で減少し年間1,895件でした。
病診連携を通じて、紹介された患者さんに適切な医療を提供するとともに、当院からも地域の医療施設に逆紹介しています。現在紹介率79.6%、逆紹介率128.9%です。
救急科新設に伴う二次救急の受け入れ推進で急性疾患や外傷に対しての貢献をしています。令和四年度の救急車受け入れは2,323件で入院1,120人(48.2%)でした。救急車以外での救急受診は3,863件で入院590名(15.3%)でした。合計6,186件で入院1,706人(27.6%)でした。鳴門市消防局からの救急要請受け入れ率は80.8%の実績を残しています。さらに上を目指します。
これからの鳴門病院
- 罹患患者の多い糖尿病診療の充実を目的に糖尿病・内分泌センターを開設しました。さらに、健診センターの機能の拡大を図ります。
- 脳卒中、心筋梗塞などの脳血管、心血管の急性発作対応も継続します。
- 手指再接着などで全県的に評価され、貢献度の高い手の外科分野は手の外科センターを設置し充実しております。また、四国でも屈指の内容の脊椎外科も脊椎脊髄センターを新設し充実しました。特に、局所麻酔での腰椎椎間板ヘルニア手術など後側方からの局所麻酔下手術も第一人者の徳島大学整形外科西良浩一教授とコラボしていきます。
- 総合内視鏡センターでは内科的な内視鏡検査で異常の見つかった患者さんが内視鏡手術や外科の手術にスムーズに移行できるようにシームレスな医療の流れを提供します。
- 乳がん手術時の一期的な乳房再建術も当院の誇る突出医療です。
- 産科、小児科の診療では入院機能を持つ当院は地域の中核となり周産期医療、小児医療の政策医療に貢献しており、これを継続します。
- 災害時の医療訓練や食料、薬剤備蓄などで、近い将来に予想される南海トラフ地震や津波などの災害に備えていきます。
- 初期臨床研修施設、専門医研修施設としての機能を果たし次世代の若い地域医療の担い手の育成も心がけています。
最後に、今後は地域包括ケアシステム構築を念頭に、地域完結的な医療の構築、充実に努めたいと考えています。急性期医療を中心にしながらも周囲の慢性期医療施設や介護施設、ケアマネージャー、訪問看護ステーションなどと緊密な情報の共有をして、慢性疾患の急性増悪時の際などにもスムーズに対応可能な後方支援病院の機能を持つ徳島県鳴門病院でもありたいと考えております。
今後の皆様方のご協力、ご支援を重ねてお願い申し上げます。