令和2年度 徳島県鳴門病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 189 83 77 118 265 394 759 1362 1022 379
当院は地域医療支援病院であり、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。
高齢化の影響で60歳以上の患者さんが多く、全体の75.8%を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 171 2.16 2.66 0.00% 66.16
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 66 16.42 13.00 19.70% 64.95
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 57 10.47 9.53 14.04% 79.29
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 57 5.33 4.94 0.00% 75.02
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 48 21.67 20.51 35.42% 68.95
内科で1番多い症例は、大腸ポリープを内視鏡的に切除した症例です。2cm以内のポリープ切除では1泊2日で安全に退院できています。2番目に多いのが腎臓又は尿路の感染症です。高齢者に多く2週間程度の治療が必要となりますが、食事摂取の減少などを伴うことも多く、長期化する場合もあります。3番目に多いのが胆石や胆管炎です。食生活の変化のためか、患者さんが増加傾向です。4番目に多のが前庭機能障害です。耳の内耳という部分の障害により、めまいなどをきたす疾患で、高齢者に多いです。5番目に多いのが高齢者の誤嚥性肺炎です。症状を繰り返すため、治療期間が長くなり転院率も高くなっています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 109 3.39 3.07 4.59% 70.04
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 70 4.34 4.44 0.00% 72.79
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 54 16.13 17.23 16.67% 83.78
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 27 10.96 10.56 7.41% 83.48
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 22 3.23 3.26 0.00% 72.09
循環器内科の入院で最も多い症例は心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患に対する心臓カテーテル検査・治療です。通常、検査の場合は3日間、治療の場合は4日間の短期入院になります。次いで多いのが心不全の治療で、多くの症例で2~3週間程度の入院期間を必要とします。虚血性心疾患よりも平均年齢が10歳以上高くなっています。入院初期には症状が強く、動きかねる方もいるため、症状が安定した後、リハビリのために転院となることもあります。徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療のための入院も比較的多いです。手術前日に入院し、通常は術後1週間程度で退院となります。高齢の方が多くなりますが、手術翌日から歩行の制限がなくなることもあり、入院前にいた場所に帰ることがほとんどです。(自宅から入院された場合は自宅に退院し、施設や病院から入院した場合は元の施設や病院に退院となります。)
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし 14 5.14 10.76 0.00% 1.07
030270xxxxxxxx 上気道炎
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし
060380xxxxx00x ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
小児科の入院はRSウイルスやマイコプラズマなどによる呼吸器感染症や、ノロウイルスなどによる胃腸炎などの感染症が主でした。令和2年度は小児科の受診者数、入院数は減少しています。新型コロナウイルスの流行以降、多くの人がマスクや手洗い、三密回避などの感染対策を行うようになり、飛沫感染や接触感染によるこれらの感染症を防ぐことができていた可能性があります。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 40 4.60 4.86 0.00% 72.68
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 6.54 7.23 0.00% 62.12
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 18 9.33 9.08 0.00% 75.89
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 18 4.33 6.41 0.00% 60.28
060210xx9700xx ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術あり 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 17 12.53 14.43 11.76% 69.59
外科では鼠径ヘルニア関連や胆嚢疾患、腸閉塞症例が多くなっています。1番目の鼠径ヘルニアや2、4番目の胆嚢疾患に対しては、積極的に腹腔鏡下手術を導入しています。腸閉塞では、3番目の保存的に治療した症例と、5番目の手術を要した症例があります。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 133 23.05 25.09 78.20% 82.32
070343xx97x1xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 84 17.04 19.22 11.90% 72.51
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1 なし 76 19.21 19.90 30.26% 69.36
070160xx01xxxx 上肢末梢神経麻痺 手根管開放手術等 74 2.19 4.67 0.00% 67.85
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 67 5.36 5.18 2.99% 55.79
整形外科では、80代を中心とした高齢者が転倒した際に生じる、ももの付け根の骨折に対しての骨接合術、人工骨頭置換術が多いです。また、当院は脊椎脊髄センターを設置しているため、首の骨や背中・腰の骨の変形などによる上肢・下肢の傷みやしびれ、手が使いにくい、歩きにくいなどの脊髄や神経の障害に対しての脊椎の手術も多いです。さらに、手の外科センターでは腕や手指の一般的手術治療に加え、指の切断などに対し、顕微鏡を用いて神経や血管の接合も行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 36 22.56 15.64 33.33% 76.64
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 25.23 18.86 45.45% 73.14
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 15.64 12.04 22.73% 82.82
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 10.14 8.18 19.05% 71.90
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 19 22.37 15.54 21.05% 76.05
脳神経外科では、脳卒中の急性期病変、特に脳梗塞の入院が最も多くなっています。入院後の治療としては、発症4.5時間以内であれば、t-PAによる急性期血栓溶解療法が可能であり、また、病型によって抗血小板療法(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞)や抗凝固療法(心原性脳塞栓症)を行います。ほとんどの症例の場合には、発症24時間以内に入院することが多く、その場合には、上記治療に加え脳保護療法として活性酸素除去剤(エダラボン)を用いて活性酸素(フリーラジカル)を低減し、脳梗塞による被害を軽減することが可能です。2番目に多い疾患としては、脳卒中の中でも脳内出血です。高血圧症を危険因子として合併している割合が高く、入院後は血圧管理やリハビリを行い、出血量が多い場合には手術(脳内血腫除去術)を選択することもあります。年齢が平均70歳以上といったこともあり、片麻痺など後遺障害が比較的高率に残存し、リハビリ目的で転院する割合が高くなっています。3番目に多い疾患は、慢性硬膜下血腫です。比較的高齢の方が、転倒などで頭部を打撲し、その後1~2か月ほど経過したときに歩行障害や認知症様の症状などで来院し、CT、MRI画像検査で判明して手術(穿孔洗浄術)により血種を除去する場合です。手術後は早期に症状は軽快し退院される場合が多いです。その他にも、転倒や交通事故などで頭部外傷を負って急性期に入院される場合もあります。4番目に多い疾患は、頭蓋内損傷で、転倒や交通事故により頭部を受傷し来院され、CT検査で頭蓋内出血などが判明して入院治療となります。脳挫傷などを合併しなければ比較的軽傷で済む場合が多い疾患です。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 18 9.17 12.87 0.00% 66.94
080020xxxxxxxx 帯状疱疹
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
161000x199x0xx 熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷(Burn Index10未満) 手術なし 手術・処置等2 なし
161000x102x0xx 熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷(Burn Index10未満) 分層植皮術 25平方センチメートル未満等 手術・処置等2 なし
皮膚科で最も多い疾患は膿皮症です。具体的には溶連菌やぶどう球菌による細菌感染症である丹毒や蜂窩織炎で、高熱を伴ったり、外来治療では十分な治療を行えない重症患者の入院治療を行っています。2番目の帯状疱疹は痛みを伴う紅斑や症状とする疾患ですが、早期診断、早期治療を行わないと潰瘍となり、瘢痕を残したり疱疹後神経痛が持続する可能性が高くなります。汎発症帯状疱疹や眼瞼が腫脹することの多い顔面の帯状疱疹では、後遺症を残さないように入院治療を行っています。3番目の薬剤内服に伴う皮疹(薬疹)は、ウイルスや細菌感染に伴って出現する(中毒疹)などがよく見られます。発熱や全身倦怠感、食欲不振などを伴う時には入院加療を行います。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 67 4.46 5.67 1.49% 61.75
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 44 3.18 2.54 2.27% 71.48
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 27 6.41 7.05 0.00% 73.56
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 22 10.86 8.15 9.09% 72.95
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 20 12.20 11.04 5.00% 76.20
泌尿器科で最も多いのは上部尿路疾患です。腎結石や尿管結石に対し、細径の内視鏡を用いてレーザーで石を砕き、採取します。2番目に多いのは前立腺悪性腫瘍です。前立腺特異抗原(PSA)が基準値より高い症例において、麻酔下で経直腸エコーガイドを用いて前立腺に針を刺し組織を採取します。癌を検出した場合は全身の検査を行い、治療法の選択肢を提示します。3番目に多いのは膀胱腫瘍です。膀胱癌に対する治療は内視鏡的切除や、進行癌に対しては膀胱全摘、全身抗癌剤治療などを行っております。4~5番目に多い症例は慢性腎不全です。様々な原因で慢性腎不全となった患者さんが、尿毒症状が強く出現する前に計画的に血液透析を導入し、緊急の患者さんにも対応しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 56 4.93 6.13 0.00% 0.00
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 16 7.75 6.10 0.00% 52.56
140010x197x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術あり 手術・処置等2 なし 12 6.33 8.37 0.00% 0.00
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 11 7.91 6.16 0.00% 47.55
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 10 9.4 8.43 0.00% 73.00
麻酔科医による無痛分娩を行っています。
新生児の低体重、呼吸促迫、黄疸などの疾患のうち、軽度のものは産婦人科で対応しています。より専門的な治療が必要な場合は、小児科と連携して治療しています。さらに、高度で集中的な治療を要する場合は、新生児集中管理室のある病院へ搬送しています。子宮や卵巣の良性腫瘍手術は、ほぼ臍に収まる小さな切開創1か所で行う単孔式腹腔鏡下手術を基本としています。高齢の女性の増加に伴い、生殖器脱出術(いわゆる子宮脱)の症例が増えています。当院では、いろいろな選択肢を説明したうえで、手術を希望される方は、根治性を重視し腹腔鏡補助下子宮摘出術と腟閉鎖術を併用した術式を実施することが多くなっています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1 なし 11 3.91 4.76 0.00% 49.64
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし
100100xx97x0xx 糖尿病足病変 手術あり 手術・処置等2 なし
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり
形成外科は、皮膚表面の手術を行っており、皮膚外科とも言われている診療科です。皮膚の良性腫瘍(粉瘤や脂肪腫など)や、悪性腫瘍(基底細胞癌やメラノーマなど)を切除したり、皮膚の潰瘍(糖尿病からの潰瘍や熱傷外傷によるもの)に皮膚移植術を行っています。また、外傷(顔や手の怪我)をできるだけ綺麗にする工夫もしています。外科の先生と一緒に乳房切除時に乳房再建も行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 10 1 8
大腸癌 9 13 24 1 8
乳癌 11 1 8
肺癌 12 1 8
肝癌 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
胃癌や大腸癌に対する手術は積極的に腹腔鏡下手術を行い、なるべく体に負担のかからないよう心掛けています。それに伴い早期癌の症例数も増加傾向にあります。乳癌に対しては、検診での早期発見の効果によりstageⅠの症例数が多くなっていると考えられます。術前化学療法や乳房再建術など、個々の状況に応じて治療方針を決定していきます。肺癌に対しては、肺以外の臓器にすでに転移があるstageⅣの進行がんの症例が多くありました。肝癌に対しての治療としては、兵糧攻めする肝動脈塞栓術や薬物療法を行っています。当院ではPET/CTを導入し、放射線治療や化学療法を積極的に取り入れています。また、化学療法認定看護師・認定薬剤師と共に、チームで治療や副作用対策を行い、術後化学療法や緩和ケアも手術から一貫して治療に対応しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 44 17.77 75.43
中等症 53 28.32 79.64
重症
超重症
不明
重症度分類(A-DROPスコア)は、スコア1~2は中等症(外来または入院治療)、スコア3~4は重症(入院またはICU治療)、スコア5は超重症(ICU治療)と判断され、いずれも満たさないスコア0は軽症(外来治療)と判断されます。当院の入院例では中等症の患者さんが最も多くなっています。肺炎の患者さんは高齢の方が多く、重症度に伴って平均在院日数も長くなる傾向にあります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 123 27.38 79.48 39.84%
その他
脳梗塞の入院は発症して早期に入院される患者さんがほとんどで、発症後3日以内の急性期脳梗塞が脳梗塞全体の高割合となっています。発症日から3日以内の患者さんの平均年齢は、79.48歳で高齢の方が多いです。入院期間は平均して1カ月未満で、半数以上が自宅もしくは施設に退院され、39.84%の患者さんが継続リハビリのために後方支援病院へ転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 181 0.79 1.72 1.10% 66.88
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 51 1.73 15.22 9.80% 72.94
K654 内視鏡的消化管止血術 29 2.07 13.55 10.34% 75.52
K6851 内視鏡的胆道結石除去術(胆道砕石術を伴う) 11 2.73 10.00 18.18% 81.64
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 10 13.60 25.80 0.00% 73.40
内科で最も多い手術は大腸ポリープ切除術です。2番目の胆道ステント留置術は胆汁の流れ道である胆管内にできた石や癌に対する処置であり、原因が石の場合には、4番目の胆道結石除去術で石を取り除くことができます。3番目に多いのは吐血・下血に対する緊急処置である消化管止血術です。5番目は、抗癌剤を安全に投与するための植込型カテーテルの設置術です。最近では、通院での抗癌剤治療の機会が増えているため件数も増えています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 54 3.69 2.69 0.00% 73.72
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 20 0.95 2.30 0.00% 70.15
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 17 1.71 9.35 11.76% 84.06
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 15 0.33 16.47 6.67% 68.20
K597-2 ペースメーカー交換術
循環器内科で最も多い手術は、虚血性心疾患に対する心臓カテーテル治療です。多くの症例では薬剤溶出型ステントを留置(冠動脈ステント留置術)しますが、小血管病変やステント内再狭窄病変に対しては薬剤が塗布された再狭窄抑制型バルーンを用いて治療(冠動脈形成術)を行っています。急性心筋梗塞を含む急性冠症候群では、受診後90分以内の血流再開を目指し、迅速に処置を行っています。次いで多い手術は徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療であり、新規のペースメーカー治療(ペースメーカー移植術)ではMRI対応のペースメーカーを留置しています。ペースメーカーの電池消耗に伴うペースメーカー交換術では、個々の症例において最適なペースメーカー(機能、大きさ、電池寿命等)を検討し、手術を行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 53 2.23 3.42 0.00% 62.32
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 38 1.47 2.11 0.00% 72.39
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 17 0.18 3.00 0.00% 35.88
K714 腸閉塞症手術(腸管癒着症手術) 12 7.08 13.00 16.67% 69.92
K726 人工肛門造設術 11 9.27 21.45 0.00% 77.55
外科では、腹腔鏡下胆嚢摘出術が最も多く、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、腹腔鏡下虫垂切除術が続きます。当院では、積極的に腹腔鏡下手術を導入しています。4番目は腸閉塞手術です。腸閉塞手術には、腸切除を必要とする症例と、癒着や絞扼している組織のみを切除する症例があります。5番目は人工肛門造設術です。大腸癌による腸閉塞症例が増加傾向にあり、腸閉塞状態から一旦脱却するために、人工肛門造設を必要とする症例が増えています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 120 2.33 15.85 25.83% 70.68
K0461 骨折観血的手術(大腿、上腕) 108 2.77 18.19 64.81% 78.84
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 74 2.7 21.89 45.95% 70.41
K093 手根管開放手術 71 0.00 1.15 0.00% 68.39
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 65 2.46 14.89 15.38% 68.22
整形外科では、頚椎・腰椎など背骨の手術が多いです。狭くなった脊髄の経過を拡大する椎弓形成術や椎弓切除術に加え、不安定になった脊柱を安定化する椎体固定術があります。また、手のひらのしびれを治す手根管開放術という手首の手術も多いです。これらは当院の脊椎脊髄センターや手の外科センターの専門医が中心に行います。その他にも、高齢者によくある股関節の骨折や、肩・肘の骨折手術も多いです。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 25 0.48 14.32 24.00% 83.24
K181-2 脳刺激装置交換術
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)
K164-4 定位的脳内血腫除去術
K1812 脳刺激装置植込術(両側)
脳神経外科で最も多い手術は慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。高齢の方が、はじめに軽微な頭部外傷を負って1~2か月ほど経過した際に、歩行障害や認知症様の症状が出現し救急入院され緊急手術となる場合が多くなります。頭部に局所麻酔を行い、小さな穿頭で硬膜下に溜まった血腫を吸引、洗浄除去します。術後は早期に症状が改善して自力歩行可能となり、8割近くの方が自宅退院されます。
2番目は脳刺激装置交換術です。当院では、難病のパーキンソン病に対して機能的脳手術を行っています。対象は治療薬の副作用が強い場合や、薬の効果が出にくかったり、薄れてきている患者さんに対して行っています。はじめに脳刺激装置埋込み術を実施し、5年ほど経過すると電池交換が必要となり、局所麻酔下で交換術を行っています。
3番目は脳動脈瘤頸部クリッピング術です。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤が破裂した場合に必要となる手術です。全身麻酔下で開頭し顕微鏡で脳内の微細な血管構造を観察し、破裂した脳動脈瘤の頸部に金属のクリップをかけ瘤内へ流入する血流を遮断します。MRA検査などで偶発に破裂前の脳動脈瘤が見つかった患者さんに対しても、予防処置として同様の手術を行う場合もあります。
4番目は、脳刺激装置埋め込み術(両側)ですが、上記に示しました脳刺激装置交換術の前に初回として、難病のパーキンソン病に対して行う機能的脳手術です。パーキンソン病の症状として振戦、固縮、歩行障害が進行し、薬物療法を行うわけですが、治療薬の副作用が強い場合や、薬の効果が出にくかったり、薄れてきている患者さんに対して行っています。レクセル定位脳手術装置という特殊な装置を用い、目標とする脳深部の神経核に正確に治療用のリード(刺激電極)を留置し、体内に埋没型の刺激発生装置を植込みます。手術後は患者さんの症状に合わせて電気刺激の強さや、刺激位置を調整することで症状を改善することができます。
5番目は脳内出血に対する定位的脳内血腫除去術です。少量の出血であれば血圧管理のみで血腫は消失する場合が多いですが、中等量(約30ml)以上の出血の場合には、周辺の正常脳への圧迫が強くなるため早期に血腫を除去する必要があります。高齢の方などは、全身麻酔が必要な開頭血腫除去術を行うには負担が大きくなることを考慮し、最近ではあらかじめCT画像で脳内出血の位置を計測し手術室へ搬入後に局所麻酔で穿頭を行い、血腫除去用の専用フレームを装着、血腫内へドレナージチューブを挿入して吸引除去することが可能となっています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 68 1.16 3.12 1.47% 61.99
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 38 1.32 4.61 7.89% 69.39
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 34 1.47 3.79 0.00% 72.97
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 29 2.25 14.62 6.90% 71.72
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 17 2.06 6.06 0.00% 79.24
泌尿器科で最も多い手術は経尿道的尿路結石除去術(レーザー)です。この手術は尿道から細径の内視鏡を挿入し、直接レーザーにて結石を破砕する手術です。2番目は経尿道的尿管ステント留置術です。この手術は癌性腹膜炎をはじめ様々な原因で尿管狭窄を生じた症例に対し、腎機能温存目的で尿管ステントを留置しています。3番目の膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)は、尿道から膀胱へ内視鏡を挿入し、電気メスにて膀胱腫瘍を切除し、膀胱壁への深達度などを評価します。4番目の末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)は、慢性腎不全の症例に対し血液透析へ導入する際に、ブラッドアクセス(血液の出入り口)として主に前腕に動静脈吻合を行ない、透析シャントを造設します。5番目の経尿道的前立腺手術は、前立腺肥大症による排尿障害に対し、尿道から内視鏡を挿入し電気メスにて前立腺を切除し、前立腺部尿道を拡げることで排尿状態の改善を目指します。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 26 1.27 6.27 0.00% 57.15
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 16 0.94 5.88 0.00% 44.00
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 12 0.00 5.33 0.00% 0.00
K9091ロ 流産手術(妊娠11週まで)(その他)
K861 子宮内膜掻爬術
子宮や卵巣の良性腫瘍の手術は、ほぼ臍の収まる小さな切開創1か所で行う単孔式腹腔鏡手術を基本としています。新生児の低体重、呼吸促迫、黄疸などのうち、軽度のものは産婦人科で対応しています。より専門的な治療が必要な場合は、小児科と連携し治療しています。さらに、高度で集中的な治療を要する場合は、新生児集中管理室のある病院へ搬送しています。初期の流産は、妊娠約1割に起こります。近隣のクリニックから紹介され、当院で処置をする症例が多くなっています。自然に経過観察することもありますが、処置を希望される方は入院の上、流産手術を行います。子宮体癌が疑われる症例で外来での組織検査で診断がつかない場合は、入院の上、麻酔下で子宮内膜を全面掻破し、組織検査を行うことがあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 34 0.67%
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる
敗血症は、全身症状を伴う感染症で、体の重要な器官(臓器)の機能不全が起こる病態です。
高齢の患者さんでは、肺炎や尿路感染症が契機となり敗血症を発症することもあります。
更新履歴
2021/9/17
病院指標を令和2年度版に更新いたしました